世界にはB型肝炎ウイルスの感染者が約2億6千万人、C型肝炎ウイルスは約7千万人います。ウイルス性肝炎で亡くなる方は増加しており、2015年には全世界で134万人に上り、HIVや結核の死者を上回りました。ウイルス性肝炎には国際社会の関心が向けられてこなかったからです。

ようやく2016年の年次総会で、WHOは2030年までにウイルス性肝炎の「排除」を目指す戦略を採択しました。国連SDGs(持続可能な開発目標)の「目標3」にも取り上げられて、いま、世界的な取り組みがはじまっています。

これまでは差別的な状況も…

アフリカでは、HIVと共通のB型肝炎治療薬でも国際援助はHIV患者に限られ、B型肝炎ウイルスだけに感染している患者は対象外という状況が続いてきました。

国際社会も2030年のウイルス肝炎「排除」をめざす。

目標は全世界で、新規感染を90%、死者を65%減らすこと。

肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、病気になっても自覚症状はほとんどありません。また、残念ながらB型肝炎には身体からウイルスを排除できる薬がまだありません。そのため、新たな感染を予防しながら、感染者を適切な治療につなげて重症化を防ぐことが大切です。

しかし、アフリカなどの低所得国・中所得国では、その実施には大きな困難があります。だから、いま力をあわせませんか。

力をあわせませんか(企画趣旨)

 現在、ウイルス肝炎対策に対する国際的な関心が高まりつつあります。毎年の犠牲者が約140万人と、HIV・マラリア・結核=「三大感染症」を上回ったことが一つの理由です。

 検査・治療法の急速な進歩によって、先進国では、ウイルス性肝炎も「恐ろしい病気」ではなくなりつつあります。それでも、肝炎には自覚症状がないため、広い国民・患者への正しい知識の啓発、ワクチンの普及、そして、患者・キャリアを適切な検査・治療につなぐことが課題になっています。ましてや、全世界の肝炎犠牲者の大部分を占める発展途上国においては、先進国では当たり前の予防・検査・治療法も使えていません。B型肝炎「根治薬」実現も展望しつつ、WHO(世界保健機関)や国連SDGsなどが掲げるウイルス性肝炎「排除」を実現するには、国際社会の協力したとりくみが絶対に必要です。

 とくに、サハラ砂漠以南のアフリカでは、ほとんどの患者が治療を受けられず、B型の肝がんが若い大人の主な死因の一つになっているそうです。いくら医学が進歩しても、予防や治療に使えなければ、患者にとっては無いも同然です。日本では患者運動や医療・行政関係者等のご努力により、患者が抗ウイルス治療を受けるための医療費助成制度をはじめ、世界でも有数の肝炎対策が行われるようになりました。なお、日本で開発されている安価で簡便な検査方法、検査技術等も、アフリカにおける活用の可能性が研究されています。

 いま、日本とアフリカの患者団体、医薬関係者等が出会い、その実情や経験を交流することには、双方にとって大きな意義があると考えます。アフリカでB型肝炎の根絶にとりくむ島川祐輔医師(パスツール研究所)の一時帰国にあわせて、アフリカから肝炎患者・研究者を招聘し、

  • アフリカの肝炎問題に対する理解と支援の輪を広げること、
  • ウイルス性肝炎そのものに対する関心を高め、正しい知識を普及すること

を目的に、交流会・講演会を開催したいと考えています。皆様のご理解とご協力、そしてご参加をいただければ幸いです。

B型肝炎感染者はアジアとアフリカに多い。
招聘時期の延期について

当初、2020年7月の世界・日本肝炎デーの時期に招聘を考えておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の状況をふまえて延期することになりました。2021年夏の実現に向けて準備しているところです。

こちらもお読みください:

About Us

サハラ以南のアフリカで猛威をふるうB型肝炎