2021年10月、「Tropical Medicine and Health」というオンライン雑誌に、日本の肝炎患者運動(日本肝臓病患者団体協議会=日肝協)の成り立ちと患者会が果たした役割を詳しく紹介した論文が掲載されました。
論文のタイトルは「Including the voice of people living with viral hepatitis: lessons learned from Japan to accelerate progress towards global hepatitis elimination”(ウイルス性肝炎とともに生きる人々の声:世界的な肝炎「排除」に向けた取り組みを加速するために日本から学んだ教訓)」です。
ご自身もC型肝炎患者だった故中島弘道医師が「肝炎の会」を設立したことなど、患者会立ち上げ当初の様子にもふれながら、日肝協をはじめとした日本の肝炎患者の活動が、日本の肝炎対策をすすめる上で大きな力になってきたことを紹介し、誰もが肝炎の検査・治療を受けられることを目指す対策づくりにおいて、肝炎患者の声を反映することが重要であることを訴える内容になっています。
英文ですが、ぜひお読みいただければ幸いです。
この論文のもとになったのは、2020年、コロナ禍でアフリカの肝炎患者団体を招聘する企画が延期になった後、私たち実行委員会とブルキナファソの患者団体「アソー・エパティット Assault Hepatitis」の間で行ったオンライン交流における、日本側の発表内容です。
著者の米澤さん(日肝協・代表幹事)が、フランスのパスツール研究所の島川先生のご協力をえて論文にまとめられました。東大の橋爪真弘教授が編集長である「Tropical Medicine and Health」というオンライン雑誌に、2名の先生による査読を経て、高い評価をいただいて、採用・掲載されています。
WHOが掲げ、国連SDGsの目標3(すべての人に健康と福祉を)にも含まれている目標「2030年までのウイルス性肝炎『排除』(新規感染を90%、死者を65%減らすこと)」にむけた取り組みにおいても、研究者・医療者の交流、政策決定への関与はもちろんのこと、患者同士の交流、その声の政策決定への反映も欠かせません。私たち実行委員会では、今後も、コロナ禍に負けず、交流の活動をすすめてまいります。
By Atsuko Yonezawa, Rebecca Grant and Yusuke Shimakawa,
Tropical Medicine and Health (2021) 49:79