ご存知ですか、注目されない感染症(肝炎)が多くの命を奪っていること。

投稿者: 事務局 Page 2 of 3

ブルキナファソから研究者・当事者が来日しました

いよいよ、アフリカと日本のウイルス性肝炎「排除」をめざす交流が、対面で始まりました。

7月19日の夕方、まずは、所用のためフランスに滞在されていたドラマン・カニア博士(ウイルス学研究者、国立センター・ムラズ=ムラズ研究所、肝炎患者団体「アソー・エパティット」創設者・名誉会長)が羽田空港に到着しました。

続けて、7月19日の夜、24時間以上をかけて、ブルキナファソからクレール・オルタンス・サノンさん(患者団体「SOS肝炎ブルキナ」代表、B型肝炎当事者)が成田空港に来日しました。

お二人とも長旅にもかかわらず、お元気なようすで、ほっとしました。この交流企画は、コロナ禍のため3年間延期を余儀なくされてきたので、この日を無事にむかえられ、実行委員会は本当に感無量です。今回の企画を応援してくださっている多くの皆様に感謝いたします。

ブルキナファソから来日したお二人は、7月20日から、日本の患者・当事者、研究者や医師・医療関係者、政治家・行政機関、NGO、市民団体や企業などと交流し、意見交換を行います。また、ブルキナファソに肝炎検査機器「フィブロスキャン」を贈るためのクラウドファンディングも始まります。皆様もひきつづき関心を寄せていただければ幸いです。

ブルキナファソからのお二人の講演予定などはこちら

ブルキナファソの肝炎患者団体「SOS肝炎ブルキナ」の活動紹介 – 予防、検査の普及などで活躍

2023年7月に来日するブルキナファソの肝炎患者団体「SOS肝炎ブルキナ」の活動写真を紹介いたします。

「SOS肝炎ブルキナ」は、2011年にブルキナファソで初めて結成された肝炎の患者団体です。首都のワガドゥグーを拠点に活動しています。写真でマイクを持っているのは、昨年、急逝された前代表のヤラさんです。肝炎の啓発を行い、検査を受けるように市民によびかけています。ポスターのデザインは、腹水の写真ですね。

このような肝炎検査の啓発キャラバンなどは、若いボランティアの方々によって支えられているそうです。また、検査のキャンペーンに必要となる試薬などは、様々な工夫を行って医療機関などから協力を得ています。


これまで、肝炎の検査のよびかけは、首都ワガドゥグーだけでなく、都市から離れた地域・コミュニティに対しても行ってきたそうですが、近年、ブルキナファソの隣国との国境沿いを中心に武装勢力の影響が強まり、治安が悪化するにつれて、このような地域への働きかけが難しくなっているとのお話もうかがいました。コロナ禍も活動の困難となっているようです。

「SOS肝炎ブルキナ」は、イギリスに拠点を置く国際的な「世界肝炎連盟(World Hepatitis Alliance, WHA)」の加盟団体です。ご紹介した写真は街のなかでのキャンペーン(キャラバン)の写真ですが、これにとどまらず、周辺諸国の患者団体などとも協力して、行政機関やWHOの地域事務所などに対するロビイング、アドボカシー活動なども熱心に行っています。

昨年から、ブルキナファソではB型肝炎の母子感染防止事業(出生直後の赤ちゃんへのワクチン接種)が始まりましたが、このような母子感染防止の促進は「SOS肝炎ブルキナ」としても特に力を入れてきたことの一つと胸をはります。

「SOS肝炎ブルキナ」の活動については、7月19日から来日する、現在の代表、クレール・オルタンス・サノンさん(B型肝炎当事者)から、ぜひ詳しくお話をお聞き下さい。

「SOS肝炎ブルキナ」のFacebookページはこちら

2023年7月19日から26日まで、ブルキナファソから肝炎患者団体の役員をつとめる当事者の方と、研究者の方が来日します。講演会などの詳細はこちら。

AH肝炎センター

ブルキナファソの肝炎患者団体「アソー・エパティット(肝炎とたたかう)」の活動紹介 – 肝炎治療センターを運営

2023年7月に来日するブルキナファソの肝炎患者団体「アソー・エパティット(肝炎とたたかう)」の活動写真を紹介いたします。

AH肝炎センター
ブルキナファソ第二の都市ボボ・ディウラッソで、アソー・エパティットは肝炎の治療・検査の拠点となる肝炎センターを運営しています。
AH肝炎センター
アソー・エパティットの肝炎センターでは、専門医・総合診療医(GP)あわせて5人の医師が所属し、検査や治療を行っています。
AH肝炎センター
アソー・エパティットの肝炎センターのようす。最近、PCR検査もできるようになったそうです。これまでは、プライベート・クリニックにしかPCR機器はなく、検査しても、検体をフランスまで空輸する必要があり、費用も時間もかかっていたそうです。肝炎センターでPCR検査が出来るようになり、大きい変化だとお話がありました。ただし、試薬の安定的な確保などでは苦労されているようです。
警察署で検査
警察署の依頼で、肝炎ウイルス検査を行うことも。地域の肝炎医療・予防などにおいて、大切な役割を担っているのがアソー・エパティットの肝炎センターです。
また、アソー・エパティットの行う研修には、周辺国からも参加者があり、地域の肝炎対策を担う人材育成にも貢献しています。

アソー・エパティットのFacebookページはこちら。

2023年7月19日から26日まで、ブルキナファソから肝炎患者団体の役員をつとめる当事者の方と、研究者の方が来日します。講演会などの詳細はこちら。

2023年7月19日-26日、ブルキナファソの肝炎患者団体が来日します。

 世界日本肝炎デー(7月28日)関連企画にあわせて、ブルキナファソから2つの肝炎患者団体の代表が来日します。ウイルス性肝炎は、肝臓がん、肝硬変などに重症化することがあり、毎年100万人以上の方が命を落としています。特にアジア、アフリカには多くの患者が暮らしています。
 それだけに、今回、世界トップレベルと言われる肝炎対策によってウイルス性肝炎克服にむけた努力を続けてきた日本の経験と、現地で肝炎対策のため奮闘する人々の知恵と経験を交流することで、SDGsの目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」達成への貢献が期待されます。

 ブルキナファソの肝炎団体代表は、来日中、WHOが掲げる2030年までの肝炎「排除(Elimination)」計画達成にむけた課題について、日本の肝炎患者団体、NGOなどと話し合い、関係機関にも協力を要請する予定です。また、日本の研究機関、医療機関などの訪問も予定しています。

 国際保健の向上、感染症の克服にむけて、避けて通れないこの課題に、ぜひ多くの方が関心を持ってくださり、現地からの声に耳を傾けていただければ幸いです。取材のお問い合わせなどは、ajhep2020@yahoo.co.jpまでよろしくお願いいたします。

来日期間

7月19日(火)〜7月26日(木)

※お二人は日本からの帰国後、7月28日(金)世界肝炎デーの行動にブルキナファソで参加する予定です。

来日される方

島川祐輔 博士 Dr. Yusuke SHIMAKAWA

パスツール研究所(パリ、常任研究員)。熊本大学特任教授。内科医、医学博士(疫学)。東京慈恵会医科大学卒業後、手稲溪仁会病院、長崎大学、国境なき医師団(MSF)などを経て、西アフリカ・ガンビアに居住しながらロンドン大学大学院(LSHTM)で疫学修士号及び博士号を取得。

ドラマン・カニア 博士 Dr. Dramane KANIA

ブルキナファソ国立研究機関センター・ムラズ研究員。生物学者(医療ウイルス学)、薬剤師。患者団体「アソー・エパティット」の創立者。フランスのモンペリエ大学で博士号を取得。

クレール・オルタンス・サノン様 Mme Claire Hortense SANON

患者団体「SOS肝炎ブルキナ」代表。高校の体育教師を経て、現在は幼稚園教諭。B型肝炎キャリア。昨年亡くなったヤラ前代表の友人で、長年にわたり団体の広報担当として活躍されてきた。

講演会等の予定

・7月21日(金)記者会見(特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン主催、東京)

・7月23日(日)世界日本肝炎デー・フォーラム(日本肝臓病患者団体協議会主催、東京)

・7月23日(日)肝炎患者交流会(当実行委員会主催、東京)

お問い合わせ先

日本アフリカ肝炎交流実行委員会事務局 ajhep2020@yahoo.co.jp

(事務局長・榛田)

後援 駐日ブルキナファソ大使館

以上

企画詳細については、「About Us」もご覧ください。 
(7月18日最終更新)

 

ブルキナファソでC型肝炎治療が無料に 〜 肝炎患者団体と交流

日本アフリカ肝炎交流実行委員会では、2023年夏にブルキナファソから肝炎患者団体を招聘する企画にむけて、ブルキナファソの2つの肝炎患者団体とオンラインで交流を行っています。

先日のオンライン交流では、SDGsの目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」にも位置づけられている、2030年までのウイルス性肝炎の「排除」(”Elimination”、WHO総会決定 ※「根絶[eradication]」と区別されて使用されている用語です)にむけて、2022年からブルキナファソの肝炎対策に大きな前進があったことが紹介されました。

C型肝炎治療薬が無料に

C型肝炎は、身体からウイルスを排除できる治療法(DAA、直接作用型抗ウイルス剤)があります。これまでブルキナファソでは約20万円という大きな金銭的負担があったそうですが、今年(2022年)8月からこの治療薬が無料化されたそうです。官民で国際社会に働きかけ、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の資金によって実現したと紹介がありました。

B型肝炎の母子感染予防へ「バースドーズ(出生直後のワクチン接種)」始まる

B型肝炎の母子感染を防ぎ、また乳幼児の感染を防ぐために、WHOはバースドーズ(出生直後=24時間以内のワクチン接種)を推奨しています。ブルキナファソでも、今年(2022年)1月からこのバースドーズが開始されたそうです。

ウイルス性肝炎の排除には依然として多くの課題

患者団体の方によれば、このような前進があるものの、肝炎ウイルス検査の普及、陽性者の治療・フォローアップなどに依然として大きな課題を抱えているそうです。日本の肝炎治療では多く利用されている、肝臓の繊維化(肝炎の進行状況)を測定するためのフィブロスキャンなど、費用のかかる機械の不足をはじめ、具体的な悩みも紹介されました。

また、肝炎患者団体は、アフリカ諸国で協力して活動されているため、ブルキナファソ以外の周辺国の深刻な状況についてもお話があり、私たちも、改めて、アフリカ(とくにサハラ砂漠以南のアフリカ)全体への支援が求められていることを感じました。

私たち実行委員会は、来年夏の招聘企画により、日本の多くの方たちに、この状況を伝え、アフリカで肝炎に苦しんでいる患者の仲間へ支援が広がるよう、努めてまいります。

私たちにはアフリカの肝炎の現実が、他人事には思えません。≪2022年7月28日の世界肝炎デーにむけて≫

アフリカの肝炎患者の苦しみは、確かに遠い国のきびしい現実です。

でも、同時に、私たち日本の肝炎患者がかつて体験してきたことと、とても良く似ています。だからこそ、

私たちにはアフリカの肝炎の現実が、他人事には思えません。

アフリカから、世界からウイルス性肝炎の被害をなくすために、みなさんのご支援をよろしくお願いいたします。

(写真)肝炎のワクチンを運ぶことも困難を伴う。写真提供・島川祐輔先生

私たちは、アフリカでB型肝炎とたたかっている医師の島川祐輔先生(パスツール研究所主任研究員、熊本大学客員教授)のお話を聞く機会があり、日本とアフリカの肝炎患者が力をあわせ、WHO・SDGsの「Elimination(肝炎ウイルス排除)」目標の達成をはじめ、世界中からウイルス性肝炎で亡くなる人、苦しむ人をなくしていくために協力していきたい、その思いで、この実行委員会を立ち上げました。2020年7月に西アフリカのブルキナファソから、患者団体を招聘して交流する予定でしたが、コロナ禍により、ここまで実現することができていないのは残念です。

2023年7月に、アフリカの患者団体を日本に招聘します。

今年2022年、いよいよ2023年7月の招聘をめざして、活動を再始動しました。この2年間、私たちはアフリカの肝炎患者の状況について学び、また、日本の肝炎患者一人一人のストーリーを掘り起こして、議論を重ねてきました。その結果、今では、自信をもって言うことができます。

アフリカの肝炎患者の苦しみは、確かに遠い国のとても厳しい現実です。でも、同時に、私たち日本の肝炎患者がかつて体験してきたことと、多くの共通点を持っています。

「病院に行っても仕方ない」という思い

サハラ砂漠以南のアフリカの多くの国では、検査でB型肝炎ウイルス陽性と分かっても、医療機関にかかる(かかれる)人は少なく、なかには、呪術師や薬草に頼り、財産を投げ打ってしまい、あるいは、かえって病状を重くしてしまう人も少なくないと言います。

私たち、日本の肝炎患者も、かつては「治療法がない」「不治の病」と言われ、「病院に来てもできることがない」「B型肝炎は8割の人は発病しないから、発病しないことを祈るしかない」など言われる時代が長くありました。すがるような気持ちで、効果の分からない健康食品でも、お祓いにでも、何にでも、もしかしたら病気を治せるかもしれない、と、ただその一心で財産を投げ打った同じ病気の仲間もたくさんいました。

(写真)日本では肝炎の治療必要性の判定に欠かせないPCR検査の設備。高価なためにアフリカではまだ普及していない。

いま、日本のB型肝炎患者には、2000年から医療保険が適用になった核酸アナログ製剤をはじめ、病気の進行を食い止め、症状の改善にもつながる治療法があります。C型肝炎患者には体内からウイルスを排除できるDAA(直接作用抗ウイルス剤)などの治療法もできました。そして、肝炎患者や心ある肝臓病の医師らが、自治体や政治に働きかけ、多くの患者がこれらの治療を経済的な心配なく受けられるようにと作ってきた助成制度もあります。

しかし、このような治療法も、まだサハラ砂漠以南のアフリカでは使うことはできず(多くの患者はB型肝炎)、かつての私たちと同じ苦しみをアフリカの人たちが味わっていることを考えると、なんとかして支援をしたいと心から思うのです。

「家族にも言えない」という思い

サハラ砂漠以南のアフリカの多くの国では、B型肝炎について正しい知識が普及しておらず、感染が分かっても、家族にも言えないという人が少なくないそうです。

私たちの暮らす日本でも、ウイルス性肝炎に対する理解は、まだ不十分と言わざるをえません。B型肝炎、C型肝炎ともに感染経路が血液などに限定されており、通常の日常生活での感染は考えられないにもかかわらず、世間の偏見や差別には大変つらい思いをしてきました。家族や職場の上司や同僚、医師や看護師などの温かい言葉に支えられた患者もいる一方で、「職場に言えない」「家族にも言えない」という状況を今も抱えている人は少なくありません。

実行委員会に参加している私たち肝炎患者は、肝炎の患者会や、肝炎の訴訟を通して、多くの心ある方たちに出会い、そして何よりも、同じ病気の仲間と出会うことができました。同じ病気の仲間との交流は、肝炎患者を支える様々な制度を改善していく力であり、同時に、この病気とたたかう勇気や人生のよろこびを与えてくれるかけがえのない場でもあります。

行政の方針決定に患者団体をはじめ市民社会が参画している国ほど、肝炎対策が進んでいるという調査もあるそうです。アフリカでも患者の団体が発展し、多くの肝炎患者がお互いに助け合い、そして行政や世界に働きかけができるように、私たちは、お互いの取組みの成果や苦労について、アフリカの肝炎患者のみなさんと交流したいと思っています。

世界の肝炎患者が力をあわせて

ウイルス性肝炎は、今では、早期に発見し、適切な治療を受けることでコントロールのできる病気になっています。C型肝炎に続いて、B型肝炎でも「根治薬」の登場も期待されています。だからこそ私たちは、アフリカの肝炎患者のみなさん、世界の肝炎患者のみなさんと交流を広げ、誰もが検査や治療にアクセスできる社会、ウイルス性肝炎による被害のない世界を目指してまいります。みなさんのご理解とご協力、きびしい状況を抱えるアフリカの肝炎患者へのご支援を心からお願いいたします。2023年7月のブルキナファソの患者団体来日にむけて、私たちとともに、その機運をもりあげていっていただければ幸いです。

2022年7月19日 日本アフリカ肝炎交流実行委員会事務局一同

肝炎の患者運動が果たしてきた役割の今日的意義:医学誌に論文が掲載されました。

2021年10月、「Tropical Medicine and Health」というオンライン雑誌に、日本の肝炎患者運動(日本肝臓病患者団体協議会=日肝協)の成り立ちと患者会が果たした役割を詳しく紹介した論文が掲載されました。

論文のタイトルは「Including the voice of people living with viral hepatitis: lessons learned from Japan to accelerate progress towards global hepatitis elimination”(ウイルス性肝炎とともに生きる人々の声:世界的な肝炎「排除」に向けた取り組みを加速するために日本から学んだ教訓)」です。

第9回「世界・日本肝炎デー・フォーラム」開催。医療講演会テーマは「アフリカにおけるウイルス性肝炎」

本日、7月28日は「肝炎デー」。国連の定めた「世界肝炎デー」であり、厚生労働省の定めた「日本肝炎デー」でもあります。肝炎に対する正しい知識の普及啓発、そして受診勧奨などのため、活発な活動が行われます。

 とくに、コロナ禍のため、昨年は開催できなかった「世界日本肝炎デー・フォーラム」(主催:日本肝臓病患者団体協議会、後援:厚生労働省、一般社団法人日本肝臓学会)ですが、今年はオンラインでの開催になります。


動画は、本日から8月3日(火)23:00までご覧いただけます。ぜひ、ご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=4dzmFVXv47M

 今年の記念講演は、島川祐輔先生(フランス パスツール研究所)による「アフリカにおけるウイルス性肝炎」です。
 上記YouTubeでは、約46分からになります。

 HIV、結核、マラリアに匹敵する死者が毎年うまれているウイルス性肝炎。もはや、「三大感染症から四大感染症へ」とも言われますが、WHOの戦略や国連SDGsにおいては、2030年までに、ウイルス性肝炎の新規感染を90%削減し、死者を65%削減するという、「排除(Elimination)」を目標に掲げ、各国でのとりくみと協力をよびかけています。


 そして、私たちの暮らすアジアとともに、ウイルス性肝炎の患者が多いのがアフリカです。島川祐輔先生は、そのアフリカで、ウイルス性肝炎対策に取り組んでこられました。

アフリカにおける治療・診断の戦略から、日本の果たす役割まで

 詳しくは、ぜひご講演の動画をご覧いただければと思いますが、今回のご講演では、アフリカにおける治療・診断をどうすすめるのか、という「戦略」のお話から、アフリカの人々が肝炎をどう理解しているのかという問題まで、詳しく語られています。また、2030年までの「排除」目標について、B型肝炎でも、C型肝炎でも目標を達成できそうな唯一の国とも言われている日本が、世界のなかで果たすべき役割についても、熱いメッセージがあります。

 ぜひ、ご覧いただき、世界と日本からウイルス性肝炎の犠牲者をなくすためにどうすればよいか、ご一緒に考えていただければ、また、まわりの方にも関心を広げていただければ、幸いです。

日本アフリカ肝炎交流実行委員会について

私たちは、日本とアフリカのウイルス性肝炎患者の交流に関する活動を行うことにより、①アフリカと日本の肝炎患者が抱える問題に対する理解と支援の輪を広げること、②ウイルス性肝炎や肝炎患者が置かれた状況に対する関心を高め、正しい知識を普及すること、ひいては日本・海外を問わず、すべてのウイルス性肝炎患者が安心して暮らせる社会を実現することを目的としています。

昨年度、西アフリカのブルキナファソから肝炎患者団体や肝炎研究者を日本にお招きし、交流の機会を持とうと考えましたが、残念ながらコロナ禍で延期となっています。現在は、オンラインでの交流や学習などを続けながら、2022年以降の実現をめざしています。詳しくは、ホームページ等をご覧下さい。

http://africajapanhep.org

B型肝炎コア関連抗原(HBcr抗原) 〜 日本の技術でアフリカの肝炎患者を救う(その2)

 アフリカでB型肝炎など、ウイルス性肝炎対策にとりくむ島川祐輔先生に、ご研究の成果について寄稿していただきました。本記事は、その2回目です。


 前にも書きましたが、アフリカにおいてB型肝炎の慢性キャリアの治療が進まない大きな理由として、治療の適応を判断するのに必須の「ウイルス量検査」ができないことがあげられます。

 一般にPCR法を用いてB型肝炎のウイルス量を調べますが、この検査はアフリカにおいて非常に高価で(¥4,000~¥20,000)、また実施できる医療機関も限られており、都市に住む一部の富裕層以外は、なかなか受けることができません。このような障壁を乗り越え、治療を必要とするアフリカの多くの慢性キャリアの人々に治療がいきわたるようにするためには、PCR検査に代わる、安価で簡易な検査が必要です。

 今回お話するコア関連抗原(HBcr抗原)も、日本で生まれた「Made in Japan」の技術です。

(写真)西アフリカ・ブルキナファソの国立ミュラーズ研究所にて。ウイルス学者のドラマン・カニア先生と私(島川)。
LAMP法の検査機器 西アフリカ・セネガルのダカール・パスツール研究所のアブー・ジョップさん

LAMP(ランプ)法 〜 日本の技術でアフリカの肝炎患者を救う(その1)

 アジアとならび、B型肝炎の多いアフリカ地域。そのアフリカでB型肝炎など、ウイルス性肝炎対策にとりくむ島川祐輔先生に、ご研究の成果について寄稿していただきました(見出しは事務局作成)。


 私たちの取り組んできた研究成果がいくつか論文となりましたので、2回に分けてご紹介したいと思います。第1回目はLAMP(ランプ)法のお話です。

厳しい現実 〜 働き盛りで発症し、命を落とす人が多い

 アフリカでは国によっては1割を超える成人がB型肝炎の慢性キャリアですが、多くの人々は自分が感染していることを知らぬまま、やがて肝硬変や肝臓がんを発症します。肝臓がんの切除や肝臓の移植といった高度な外科治療はアフリカでは乏しく、また受診の遅れから見つかった時には手遅れという場合がほとんどです。30-50才代の働き盛りで発症して命を落とすことが多いため、残された家族が生活に困窮するという点も大きな問題です。

(写真)LAMP法の検査機器を背景に、西アフリカ・セネガルのダカール・パスツール研究所のアブー・ジョップさん(検査技師)。セネガルでのLAMP法評価の中心的役割を果たした。2021年秋より熊本大学消化器内科学・田中靖人教授のもとに留学、肝炎ウイルス学の研鑽を積む予定。

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