ご存知ですか、注目されない感染症(肝炎)が多くの命を奪っていること。

タグ: C型肝炎

私たちにはアフリカの肝炎の現実が、他人事には思えません。≪2022年7月28日の世界肝炎デーにむけて≫

アフリカの肝炎患者の苦しみは、確かに遠い国のきびしい現実です。

でも、同時に、私たち日本の肝炎患者がかつて体験してきたことと、とても良く似ています。だからこそ、

私たちにはアフリカの肝炎の現実が、他人事には思えません。

アフリカから、世界からウイルス性肝炎の被害をなくすために、みなさんのご支援をよろしくお願いいたします。

(写真)肝炎のワクチンを運ぶことも困難を伴う。写真提供・島川祐輔先生

私たちは、アフリカでB型肝炎とたたかっている医師の島川祐輔先生(パスツール研究所主任研究員、熊本大学客員教授)のお話を聞く機会があり、日本とアフリカの肝炎患者が力をあわせ、WHO・SDGsの「Elimination(肝炎ウイルス排除)」目標の達成をはじめ、世界中からウイルス性肝炎で亡くなる人、苦しむ人をなくしていくために協力していきたい、その思いで、この実行委員会を立ち上げました。2020年7月に西アフリカのブルキナファソから、患者団体を招聘して交流する予定でしたが、コロナ禍により、ここまで実現することができていないのは残念です。

2023年7月に、アフリカの患者団体を日本に招聘します。

今年2022年、いよいよ2023年7月の招聘をめざして、活動を再始動しました。この2年間、私たちはアフリカの肝炎患者の状況について学び、また、日本の肝炎患者一人一人のストーリーを掘り起こして、議論を重ねてきました。その結果、今では、自信をもって言うことができます。

アフリカの肝炎患者の苦しみは、確かに遠い国のとても厳しい現実です。でも、同時に、私たち日本の肝炎患者がかつて体験してきたことと、多くの共通点を持っています。

「病院に行っても仕方ない」という思い

サハラ砂漠以南のアフリカの多くの国では、検査でB型肝炎ウイルス陽性と分かっても、医療機関にかかる(かかれる)人は少なく、なかには、呪術師や薬草に頼り、財産を投げ打ってしまい、あるいは、かえって病状を重くしてしまう人も少なくないと言います。

私たち、日本の肝炎患者も、かつては「治療法がない」「不治の病」と言われ、「病院に来てもできることがない」「B型肝炎は8割の人は発病しないから、発病しないことを祈るしかない」など言われる時代が長くありました。すがるような気持ちで、効果の分からない健康食品でも、お祓いにでも、何にでも、もしかしたら病気を治せるかもしれない、と、ただその一心で財産を投げ打った同じ病気の仲間もたくさんいました。

(写真)日本では肝炎の治療必要性の判定に欠かせないPCR検査の設備。高価なためにアフリカではまだ普及していない。

いま、日本のB型肝炎患者には、2000年から医療保険が適用になった核酸アナログ製剤をはじめ、病気の進行を食い止め、症状の改善にもつながる治療法があります。C型肝炎患者には体内からウイルスを排除できるDAA(直接作用抗ウイルス剤)などの治療法もできました。そして、肝炎患者や心ある肝臓病の医師らが、自治体や政治に働きかけ、多くの患者がこれらの治療を経済的な心配なく受けられるようにと作ってきた助成制度もあります。

しかし、このような治療法も、まだサハラ砂漠以南のアフリカでは使うことはできず(多くの患者はB型肝炎)、かつての私たちと同じ苦しみをアフリカの人たちが味わっていることを考えると、なんとかして支援をしたいと心から思うのです。

「家族にも言えない」という思い

サハラ砂漠以南のアフリカの多くの国では、B型肝炎について正しい知識が普及しておらず、感染が分かっても、家族にも言えないという人が少なくないそうです。

私たちの暮らす日本でも、ウイルス性肝炎に対する理解は、まだ不十分と言わざるをえません。B型肝炎、C型肝炎ともに感染経路が血液などに限定されており、通常の日常生活での感染は考えられないにもかかわらず、世間の偏見や差別には大変つらい思いをしてきました。家族や職場の上司や同僚、医師や看護師などの温かい言葉に支えられた患者もいる一方で、「職場に言えない」「家族にも言えない」という状況を今も抱えている人は少なくありません。

実行委員会に参加している私たち肝炎患者は、肝炎の患者会や、肝炎の訴訟を通して、多くの心ある方たちに出会い、そして何よりも、同じ病気の仲間と出会うことができました。同じ病気の仲間との交流は、肝炎患者を支える様々な制度を改善していく力であり、同時に、この病気とたたかう勇気や人生のよろこびを与えてくれるかけがえのない場でもあります。

行政の方針決定に患者団体をはじめ市民社会が参画している国ほど、肝炎対策が進んでいるという調査もあるそうです。アフリカでも患者の団体が発展し、多くの肝炎患者がお互いに助け合い、そして行政や世界に働きかけができるように、私たちは、お互いの取組みの成果や苦労について、アフリカの肝炎患者のみなさんと交流したいと思っています。

世界の肝炎患者が力をあわせて

ウイルス性肝炎は、今では、早期に発見し、適切な治療を受けることでコントロールのできる病気になっています。C型肝炎に続いて、B型肝炎でも「根治薬」の登場も期待されています。だからこそ私たちは、アフリカの肝炎患者のみなさん、世界の肝炎患者のみなさんと交流を広げ、誰もが検査や治療にアクセスできる社会、ウイルス性肝炎による被害のない世界を目指してまいります。みなさんのご理解とご協力、きびしい状況を抱えるアフリカの肝炎患者へのご支援を心からお願いいたします。2023年7月のブルキナファソの患者団体来日にむけて、私たちとともに、その機運をもりあげていっていただければ幸いです。

2022年7月19日 日本アフリカ肝炎交流実行委員会事務局一同

肝炎の患者運動が果たしてきた役割の今日的意義:医学誌に論文が掲載されました。

2021年10月、「Tropical Medicine and Health」というオンライン雑誌に、日本の肝炎患者運動(日本肝臓病患者団体協議会=日肝協)の成り立ちと患者会が果たした役割を詳しく紹介した論文が掲載されました。

論文のタイトルは「Including the voice of people living with viral hepatitis: lessons learned from Japan to accelerate progress towards global hepatitis elimination”(ウイルス性肝炎とともに生きる人々の声:世界的な肝炎「排除」に向けた取り組みを加速するために日本から学んだ教訓)」です。

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